銭湯に行こう!~550円のパラダイス⑦

『黄金湯』後編。下町風情の歓楽街に“黄金”あり

 クリスマスイブ、黄金湯の湯舟を照らすのはキャンドルの炎。灰色のコンクリート風の壁に浮かび上がる壁画は、富士山でもなく欧州のタイル画でもなく、水墨画のようなシックな絵。前に京都の高山寺で見た、カエルやウサギなどが擬人化された絵巻物、『鳥獣人物戯画』(こちら、国宝なので私が見たのはレプリカだと思います)のようだなあと思って、後日調べてみると、何と漫画の『きょうの猫村さん』でも有名なほしよりこさんの画でした! どうやら、1人の少年の人生を絵巻物風に描いているようです。

 さて、こちらの湯あみ処の湯舟は3つ。ジェット付きの“あつ湯”は43度くらいと刺激的、日替わりの薬湯があり、もう一つ、あまりお目にかからない“ぬる湯”炭酸泉がありました。炭酸泉って、血行促進や冷え性、肩こりなどの改善につながるだけでなく、美肌効果もあるんですよ。女子に嬉しいお湯なのです。水風呂は地下水のかけ流しです。

この日の湯友は、地元の人が6割、シニア層が5割、まあまあ混み合っていました。若い人が多かったですが、もしかしたら“クリスマス銭湯”で来た若いカップルかもしれません。男湯に彼氏が入っていたのかしら。タトゥーもOK。実際、壁画のような墨絵が入った美女がいましたよ。この湯は24時30分まで開いているし、朝風呂もやっているので、近所にあってほしい!と本気で思いました。

奥にあるサウナをちょっと覗いてみました(ごめんなさい)。何だか秘密の部屋っぽいのですけど……見るからにかなりこだわった素材の壁(麦飯石)で、まるでどこかの高級サウナのようです。水風呂と外気浴スペースもありこちらもオシャレ。ここにもご夫妻のアイデアと心意気が詰まっているのですね。こちらもいつかゆっくり来たいものです。

 クリスマスの“女一人湯”にはぴったりの湯あみ処でお湯を楽しみ、大満足。外に出ると20時30分を過ぎています。さて、本日の“ご褒美の一杯”の時間です。

この特別な日、女一人は警戒されるのか、そもそも入ることができるお店はあるのか。しかしここは下町の歓楽街、錦糸町。といえば、今日は美味しい焼き鳥とともにビールを1杯「プハーッ」とやって、明日の仕事に備えてサクッと帰ろうと決め、ネットで近所の焼き鳥屋検索です。便利な世の中です。

 開いているお店はそれなりにあるけれど、その中に「本日カップルお断り」のお店が。こういう店に飛び込むのはいかにも恥ずかしいかしら……と思ったけれど、勇気を振り絞って電話したら「いいっすよ」の返事。地図を見ながら歩いていくと、10分くらいのところに、こじんまりした焼き鳥屋の赤ちょうちんが見えました。もちろん、美味しい焼き鳥屋の基本、窓から出るケムリも見えます。「いらっしゃーい」の声。若い男女が働いています。

 席はカウンターのみ。お客さんはサラリーマン2人と、地元民らしきおとうさん1人。奥の席に座り「生ビール、お願いします」。そうして出てきた黄金色の飲み物は、イブだろうが正月だろうが、年中無敵の美味しさです。黄金湯、バンザイ。

 何本か焼き鳥を注文したところ、どれもボリューミーで、しかもお安い。さすが錦糸町! 隣のおとうさんはお会計を済ませササッと帰りましたので、私はもう1杯「ハイボール、お願いします」。こちらはちょっと薄い黄金色です。

さて、こんな日にお店で働いている2人はもしかしてカップル?と思い、昭和のおばさん丸出しで聞いてしまいました。違いました。それぞれお相手がいて、ここのバイトが終わったら、仲間と飲みに行くのだそう。クリスマスはカップルのためだけにあらず。

 さて、締めの炭水化物を探していると、「オリジナルラーメンそば」というメニューが。入口近くにいるサラリーマン2人組も食べているではありませんか。このお2人は単身赴任中で、今日は仕事帰り。私と同士です(こちらにも話しかけてしまいました)。

 インスタントラーメンを使った油そばみたいなものでしたけれど、このチープな美味しさがまた、女一人のイブにぴったりで、なんだか嬉しくなってしまうのでした。

今回ももちろん「ふろコレ」(100円)買いました。キャンドルがない普通の日の浴場内は、壁も薄いグレーで明るい雰囲気ですよ

昨年のクリスマスディナー。きゅうり&大根の味噌添えはお通し、焼き鳥はすべて美味し、締めの麺には“黄金”色の卵が輝いています

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